• 神奈川県の小田原百貨店の野菜売り場
  • サニーレタスの水が床に垂れて濡れていたところで、60代の男性客が足を滑らせ転倒
  • 東京地方裁判所は清掃などの対応をした形跡がなかったことから「安全管理義務に違反した」と判断
  • 約1億200万円の損害賠償を求めた訴訟で、約2180万円の支払いを命じた

管理人コメント

  • 過去にも同じように足を滑らせて骨折して、安全管理宜雄無違反で損害賠償の事例あり
  • このような事例では、客に過失があったとしても、ある程度の店舗側の責任が問われてしまう
  • ケガに対する対応(謝罪・治療費・慰謝料)は難しいが、うまくいかなかった場合は裁判等になる可能性がある。
  • 裁判等になたっときなど店舗側の管理責任を問われたときに、定期的な安全確認と清掃をしていることが重要であり、特に、それらの記録を残しておくことが店舗を守ることにつながる
  • 食品の安全面ではHACCPによる衛生管理があるが、HACCPの前提として一般衛生管理がある。
  • その中に「施設の衛生管理」として「施設の清掃・消毒・清潔保持等に関すること」があげられている。
  • 清掃の記録があれば、適切な対応を証明できたかもしれないし、過失があるにしろ過失割合を下げれたかもしれない。
  • なお、清掃記録表には単なるチェックマークだけでなく、何らかの異常があった場合はその旨記載しておくこと。

【時事通信社】レタスの水で客転倒 スーパーに2180万円賠償命令―東京地裁

レタスの水で客転倒 スーパーに2180万円賠償命令―東京地裁

2021年07月28日17時45分

 スーパーの店内で転倒し、左肘を骨折した東京都の男性(63)が、床が水浸しで放置されていたのが原因だとして、経営する小田原百貨店(神奈川県小田原市)に約1億200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。品田幸男裁判長は、野菜売り場でサニーレタスの水が床に垂れたため転倒の危険が生じたとして、約2180万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2016年10月、同県湯河原町のスーパーで、足を滑らせて転倒。入通院が必要となり、手術を受けるなどした。
 品川裁判長は、サニーレタスに付いた水が垂れて床がぬれていたのに、清掃などの対応をした形跡がうかがえないと指摘。「安全管理義務に違反した」と判断した。
 賠償額は、企業経営者の男性が負傷で休業せざるを得なかった点や、左肘関節に後遺障害が残ったことなどが考慮された。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021072801047

【読売新聞オンライン】スーパーのぬれた床で転倒し客骨折、店舗に2180万円賠償命令…「サニーレタスの水滴が招いた」

スーパーのぬれた床で転倒し客骨折、店舗に2180万円賠償命令…「サニーレタスの水滴が招いた」
2021/07/28 21:47

 神奈川県湯河原町のスーパーで買い物中、野菜売り場の床がぬれていたせいで転倒し、左肘を骨折したとして、東京都内の男性(63)が、店舗を運営する「小田原百貨店」(神奈川)に約1億225万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は28日、同社に約2180万円の賠償を命じる判決を言い渡した。品田幸男裁判長は「サニーレタスから垂れた水滴がたまり、転倒を招いた」として店側の過失を認めた。

 判決によると、男性は2016年10月、「小田原百貨店湯河原店」の野菜売り場で転倒して骨折。男性が経営していたバウムクーヘン製造会社の休業を余儀なくされる被害が生じた。

 訴訟で被告側は「床がぬれていたとは考えがたい」と主張。しかし判決は、水気を含んだサニーレタスが特設コーナーに並べられ、客がレタスを取る際に落ちた水が床に広がったとし、店側が床の清掃などの安全管理を怠ったと判断した。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210728-OYT1T50426/

(参考)同種事例「床に落ちていたてんぷらを踏んで転倒負傷したのは店舗の安全確認を怠ったとして損害賠償判決」(2020/12/8)

  • 東京都杉並区のスーパー「サミット」で、30代の男性客がレジ前の通路に落ちていたカボチャの天ぷらを踏んで転倒し右ひざを負傷
  • 東京地裁は、天ぷらを落としたのは利用客だったが、事故が起きた当時は店舗内は混み合っており、従業員による安全確認などにより「物が落下した状況が生じないようにすべき義務を負っていた」と指摘し、安全管理を怠ったと認め、約57万円の支払いを命じた。
  • 個人的には、さすがにここまで配慮するのは難しいかもしれないなあと思いますが、従業員は常に安全を確保する必要があるということですね。
  • あとは、事故当初に6万円を支払っていたらしいが、裁判になるということは、交渉がうまくいかなかったということですね。

判決文からの抜粋引用「信義則上の安全管理義務違反があり,不法行為責任が成立する」

事件番号  平成31(ワ)7979

事件名  損害賠償請求事件 

裁判年月日  令和2年12月8日

裁判所名・部  東京地方裁判所

(判決文抜粋)

上記事情に鑑みると,本件店舗を運営する被告としては,利用客に対する信義則に基づく安全管理上の義務として,本件事故発生時のように,本件店舗が混み合い,相当数の利用客がレジ前通路を歩行することが予想される時間帯については,被告の従業員によるレジ周辺の安全確認を強化,徹底して,レジ前通路の床面に物が落下した20 状況が生じないようにすべき義務を負っていたというべきである。
本件事故発生時,被告の従業員がレジ周辺の安全確認を行っていた形跡はなく,被告は,上記義務を尽くしておらず,これにより,レジ前通路の床面に天ぷらが落下した状況を発生,継続させ,本件事故を生じさせたのであるから,被告には信義則上の安全管理義務違反があり,不法行為責任が成立するというべきである。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89999

(参考)消費者庁の転倒事故防止に関する公表資料(平成28年12月7日 )

消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 消費者安全 > 消費者への注意喚起 > 店舗・商業施設で買い物中の転倒事故に注意しましょう ~師走・クリスマス・お正月の買い物は注意して~

平成28年12月7日
店舗・商業施設で買い物中の転倒事故に注意しましょう
~師走・クリスマス・お正月の買い物は注意して~

2.転倒事故の内訳
(1)店内の床滑りによる転倒事故
雨天の日には店舗入口付近の濡れた床での転倒が多く、入口のマットが滑った事例やマットから床に足を踏み入れたときに濡れた床で滑った事例も起きています。
水濡れの床での事故としては、鮮魚コーナー、冷凍ケース、製氷機、ウォーターサービスの周辺で、こぼれた水や氷で足を滑らせた事例が多くあります。また、清掃後の床が十分乾いておらず、足を滑らせた事例もあります。
また、野菜くずや果物、飲み物、その他商品やその一部等の落下物を踏んで足を滑らせています。さらに、ビニールや値札等を踏んで足を滑らせた事例もあります。(図4)

【事例2】売場コーナーの濡れた床で滑った
スーパーの鮮魚コーナー展示冷蔵庫前の床に流れていた水で足を滑らせ転倒し、救急車で病院に運ばれた。打撲等の怪我をし、頭痛や歩行困難の症状が出た。以後治療を受けたが体調がままならない。
(事故発生:平成23年7月 80歳代 女性)

【事例3】野菜くず・果物等の落下物で滑った
スーパー店内に落ちていたぶどうの粒を踏んで転倒した。救急の外来で肩の腱が2本切れていることが分かった。
(事故発生:平成26年7月 50歳代 男性)

3.消費者へのアドバイス
店舗での転倒事故は、店舗のフロアーや駐車場等の状態(水濡れ、凹凸等)だけが原因ではなく、消費者自身が注意を十分に払っていないことも関係しています。買い物中は商品に気を取られがちですが、自らも足元や周囲に注意を払い、事故に遭わないよう買い物をしましょう。もし、危険だと感じた時は、お店の方に申し出て、安全策をとってもらいましょう。

<買い物中、こんなところは注意!(別紙1の図を参照。)>
<危険だと感じたらお店の方に声掛けしましょう>
(1)床の水濡れや野菜等の落下物に注意
● 雨や雪の日の店舗入口は床が濡れています。マットから濡れた床に移る際に滑ることが多く、特に注意が必要です。
● 鮮魚コーナー、冷凍ケース、製氷機等の周囲の床では、濡れている場合や氷が落ちたりしている場合があり、滑りやすくなっています。
● 惣菜コーナーの前の床は、調理の油で汚れ滑りやすくなっている場合があります。
● 青果コーナーでは、野菜くずなどが床に落ちている場合があり、踏みつけたときに滑ることがあります。
(2)足元の段差や床に置かれた商品や台車に注意

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_007/

<買い物中、こんなところは注意!(別紙1)>(クリックで拡大)

投稿者プロフィール

赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)