事件の概要
- 2021年3月に発覚した給食用の甲州牛に甲州牛以外の他県産の牛肉が混入していた「山梨食肉流通センター」で、このたび、賞味期限切れの牛肉を使用していた疑いがでてきた
- そもそも賞味期限切れ間近の牛肉を処理したいがために起こった事件で3月に発覚していたが、実際に「2日から1週間程度過ぎた牛肉を提供した」との牛業員の証言もあったとのこと。
- 背景には、「山梨食肉流通センター」の組織内での賞味期限切れの牛肉に対する上司の叱責など、人間関係に問題があったとの報道がある
- 「山梨食肉流通センター」の所長は県が出資する関係団体への再就職
- 学校給食に地元の甲州牛を提供する山梨県の事業(山梨県甲州牛等販売促進緊急対策事業)
・学校給食を実施している県内の小中学校、定時制高等学校、特別支援学校等(計261 校)の児童、生徒、職員(約 6 2 000人)
・実施期間は令和2年7月から令和3年3月
- 食品関係の法令的には、食品表示法や牛トレーサビリティ法などに抵触する恐れがあるので、今後、行政処分となるかもしれない(行政処分なら公表されるが、行政指導の場合は非公表)
- 続報があれば追記予定
管理人コメント
- 組織内の風通しが良くない場合によく起こる事例
- 複数の職員が関与していると思われるが、悪いと思いながらもやらざるを得ないという空気があったのかもしれない
- 外部指摘の前に、内部告発があったのだけど、単なるミスとして処理し、十分な対応をしていなかったので大きな事件に発展したという、これもよくあるパターン(内部通報・公益通報の活用の必要性)
- 甲州牛を給食に提供しようというせっかくの県の事業でありながら、子どもたちを裏切る形になったのは残念
- 「山梨食肉流通センター」は、肉の流通には必要な組織なので、時間がたてば、何もなかったかのようになるかもしれない
- 食品の品質や表示は事業者が守っているはずという性善説に基づくものであり、消費者はそれを信じるしかない(だから表示違反に対しては厳しい措置)
- そして、受け入れる側の給食施設に何ができるのか?
を考えた時に、検収時に「納品されたブランド牛肉の中に、ちょっと違う肉が入っているような感じがする」とまで気づけるかどうか - この事件をとおして、このような事例があったことを知っていると、検収時に何かの役に立つかもしれない
- 今後、調査が続き、牛トレーサビリティ法の行政処分が出るかどうか注目している
- なお、賞味期限切れについては非公表の行政指導のレベルではないかと思う
- 「株式会社山梨食肉流通センター」(山梨県笛吹市石和町)
http://www.y-meat-center.co.jp
- 1. 【山梨県公表資料】学校給食への甲州牛及び甲州地どり食肉の提供について 2020年8月26日
- 2. 山梨県知事記者会見(令和3年3月25日木曜日)より
- 3. ニュース記事の紹介
- 3.1. 2021年8月の発覚時以降のその後のニュース
- 3.1.1. 【 YBS山梨放送 】他県産牛肉の混入問題 再発防止へ県に報告書提出 2021/09/30
- 3.2. 2021年8月の発覚時のニュース
- 3.2.1. 【YBS山梨放送】山梨食肉流通センター 賞味期限切れ牛肉を給食に使用か 2021/8/26
- 3.2.2. 【NHK NEWSWEB】学校給食に賞味期限切れ牛肉を提供か 笛吹市 2021年8月27日
- 3.2.3. 【読売新聞オンライン】賞味期限切れの牛肉、学校給食用に納入か…社員の申告で発覚 2021/08/30
- 3.3. 2021年3月の発覚時のニュース
- 3.3.1. 【NHK NEWSWEB】ブランド牛以外の牛肉混入「賞味期限迫った肉処理に困り」山梨 2021年3月25日
- 3.3.2. 【YBS山梨放送】 【特集】甲州牛の給食提供事業 他県産牛肉の混入 背景を徹底検証 2021/05/27
【山梨県公表資料】学校給食への甲州牛及び甲州地どり食肉の提供について 2020年8月26日
2020年8月26日
学校給食への甲州牛及び甲州地どり食肉の提供について新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外食需要やインバウンド需要の減少により、価格の低迷や在庫の増加が生じている、県産ブランド食肉である甲州牛及び甲州地どりを県内の小中学校等の学校給食の食材として提供し、消費拡大を図るとともに、その美味しさや魅力を伝える食育を実施します。
1実施学校
https://www.pref.yamanashi.jp/chikusan/chikusankikaku/documents/gakkoukyuusyokuteikyou.html
学校給食を実施している県内の小中学校、定時制高等学校、特別支援学校等 計261校
2児童、生徒、職員数 約62,000人
3実施期間 令和2年7月から令和3年3月
4実施事業概要 山梨県甲州牛等販売促進緊急対策事業
取組主体:公益財団法人 山梨県学校給食会
内 容:甲州牛各学校3回まで提供、甲州地どり各学校1回提供、食育教材配布
5取材可能校
【甲州牛提供校】
・北杜市立長坂中学校(北杜市長坂町長坂上条1608)
日 時:令和2年9月11日(金)12:15~13:00
メニュー:甲州牛の牛丼
・北杜市立須玉小学校(北杜市須玉町若神子200-2)
日 時:令和2年9月16日(水)12:25~13:10
メニュー:甲州牛のビーフカレーライス
【甲州地どり提供校】
・都留市立谷村第一小学校(都留市上谷1-1-2)
日 時:令和2年9月17日(木)12:20~13:00
メニュー:甲州地どりの親子丼
・市川三郷町立上野小学校(西八代郡市川三郷町上野4916)
日 時:令和2年9月30日(水)12:30~13:15
メニュー:甲州地どりの親子丼
- 【プレスリリース】学校給食への甲州牛及び甲州地どり食肉 の提供 に ついて(PDF)
山梨県知事記者会見(令和3年3月25日木曜日)より
食肉流通センターにおける牛肉混入問題について
知事株式会社山梨食肉流通センターが、甲州牛を県内の小中学校等に給食用の食材として提供した事業におきまして、甲州牛以外の牛肉が混入していたことが判明したところであります。
この事業は、新型コロナウイルスで、流通、販売に大きな影響を受けた甲州牛の販路拡大と、児童、生徒に甲州牛のおいしさを知っていただく食育も兼ねた、県の事業として推進していたものであります。
このような中、県が出資しております食肉流通センターにおきまして、かかる消費者の信頼を大いに揺るがす、あるいは、子ども達の楽しみを奪うような、裏切るような事案が発生したことは、まったくもってけしからん話でありまして、強く非難したいと思います。
県としては、外部の専門家による第三者委員会を設置していただき、徹底した原因究明と、それを基にした再発防止策の実施を強く求めていきたいと考えております。また、原因究明に関しては、全て包み隠さず公表することが重要であろうと考えます。
甲州牛は我が県が誇りますブランド牛でありまして、まさにこのブランド価値を毀損しかねない極めて深刻な問題であると考えております。
消費者の皆様の信頼を取り戻すために、徹底した対応を県としても行っていく必要があろうと考えている次第であります。
記者
第三者委員会の設置はもうすでに求めたのでしょうか。
知事
これから速やかに求めます。現状では内部調査の結果が出たということですが、消費者の信頼を確保するためには、やはり外部の第三者がしっかりと検証する必要があると思いますので、それはしっかりやっていただきたいと思います。
記者
内部調査の発表の中で、(混入していたのが)給食ということだったのですが、それ以外の混入の可能性について、県はどのように考えていますか。
知事
内部調査では(それ以外の混入は)なかったという話は聞いておりますが、ただ、それも含めて、しっかりともう1回、外部の目からチェックをしていただく必要があるのではないかと考えます。この際、徹底して調べていただいて、このようなことはもう二度と起きないと消費者の皆様に思っていただけるように、しっかりと原因を究明し、あるいは周辺の調査を行い、再発防止策を構築していただきたいと考えます。
記者
この事業で、県から億単位の補助金が出ていると思うのですが、本来と違う肉が混じってしまったということで、その補助金の取り扱いはどのように考えていますか。
課長補佐
現在、国と協議をさせていただいている中で、内容を国に報告し、しっかりとした形で対応させていただきます。
https://www.pref.yamanashi.jp/chiji/kaiken/0303/0325.html
ニュース記事の紹介
※下記に紹介している記事や動画は時間の経過とともに削除される場合がありますのでご了承ください。
2021年8月の発覚時以降のその後のニュース
【 YBS山梨放送 】他県産牛肉の混入問題 再発防止へ県に報告書提出 2021/09/30
※リンク先にニュース動画あり
他県産牛肉の混入問題 再発防止へ県に報告書提出
山梨 2021.09.30 19:53
甲州牛を提供する給食に他県産の牛肉を混入させた問題で、山梨食肉流通センターが再発防止策を盛り込んだ報告書を提出した。センターは賞味期限切れの牛肉を提供した疑いについても調査している。この問題は甲州牛を学校給食に出す県の事業で、センターの社員が他県産の牛肉72.1キログラムを混ぜていたもの。施設を調査した県は食品表示法に違反すると判断し、原因や責任の所在を報告するよう求めていた。センターは30日、県に報告書を提出し、社員の安全意識の欠如や日頃から叱責を受けていた上司からの重圧などが原因だったと結論付けたという。
再発防止策については、コンプライアンス研修の継続的な実施や部署をまたいだチェック体制の強化などを挙げた。一方、賞味期限切れの肉を混ぜた疑惑については、「保健所の指導を受けて調査を続けている」としている。
https://www.ybs.jp/tv/wnews/news120ggueerhenihm7jce.html
2021年8月の発覚時のニュース
【YBS山梨放送】山梨食肉流通センター 賞味期限切れ牛肉を給食に使用か 2021/8/26
山梨食肉流通センター 賞味期限切れ牛肉を給食に使用か
8/26(木) 20:42配信
山梨食肉流通センターが甲州牛の給食に他県産牛肉を混入していた問題で新たな疑いが浮上だ。賞味期限切れの牛肉を複数回、使用した疑いがあるとして、保健所がセンターに立ち入り調査をしていたことが分かった。
この問題は、学校給食に甲州牛を提供する山梨県などの事業で甲州牛を納入した山梨食肉流通センターの社員が他県産牛肉72.1キロを混入させたもの。
センターによると、その後の内部調査で複数回、賞味期限切れの牛肉を使用していた疑いが浮上し、26日までに保健所から立ち入り調査を受けたという。
センターの駒井文彦社長は取材に対し「冷凍か冷蔵かの保存方法を巡り新たな証言があり賞味期限切れの疑惑が生じた。内部の調査に甘さがあった」と話している。その上で「保健所の調査に協力し速やかに結果を公表したい」としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/036b0f7b649542726d683f43287e30b4ec1df0a1
※ YBS山梨放送 のニュース動画あり↑
【NHK NEWSWEB】学校給食に賞味期限切れ牛肉を提供か 笛吹市 2021年8月27日
山梨 NEWS WEB
学校給食に賞味期限切れ牛肉を提供か 笛吹市
08月27日 11時52分笛吹市の山梨食肉流通センターが学校の給食に甲州牛として提供した牛肉の一部に別の牛肉が混入していた問題で、センターが賞味期限が切れた牛肉を提供した疑いがあることが新たにわかりました。
笛吹市の「山梨食肉流通センター」は、県と国が費用を負担してブランド牛「甲州牛」を購入し学校給食として提供する事業を請け負い、去年7月からことし3月にかけて県内の小中学校や保育園などに給食を提供しましたが、ことし3月、牛肉の一部に甲州牛以外の牛肉が混入していたことがわかり、内部調査で社員2人が関与したことが明らかになっています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20210827/1040014219.html
こうした中、この内部調査で、社員1人が「賞味期限が2日から1週間程度過ぎた牛肉を提供した」と申告していたことが新たにわかり、峡東保健所が詳しく調べています。
賞味期限が切れた牛肉が混入した時期や量、どこの学校に提供されたかなどは調査中だということですが、給食が提供された学校がある27市町村の教育委員会によりますと、センターが提供した去年7月からことし3月までの間の健康被害の報告はないということです。
山梨食肉流通センターの駒井文彦社長は「大変申し訳ないことをしたと思っている。今後の県の調査に協力していきたい」とコメントしています。
【読売新聞オンライン】賞味期限切れの牛肉、学校給食用に納入か…社員の申告で発覚 2021/08/30
賞味期限切れの牛肉、学校給食用に納入か…社員の申告で発覚
2021/08/30 10:56山梨食肉流通センター(山梨県笛吹市)が昨年度、賞味期限切れの牛肉を学校給食用に納入した疑いがあるとして、県が食品衛生法に基づく立ち入り調査をしていたことがわかった。
同社によると、冷凍保存すべきものを冷蔵保存し、出荷時に賞味期限が2~7日過ぎていた可能性があるという。社員からの申告で発覚した。健康被害の報告はないとしている。
山梨県庁24日に社員から申告を受けた同社が県峡東保健所に報告し、25日に同保健所が立ち入り調査をした。
同社では今年3月、県外産が混入した牛肉を県産ブランドの甲州牛として給食用に納入した問題が発覚し、内部調査が続いている。調査の過程で、保管状態の問題や賞味期限切れについての申告があった。
駒井文彦社長は「大変申し訳ない。引き続き出荷時期や量などの調査を進める。保健所の調査にも協力する」と話している。
2021年3月の発覚時のニュース
【NHK NEWSWEB】ブランド牛以外の牛肉混入「賞味期限迫った肉処理に困り」山梨 2021年3月25日
ブランド牛以外の牛肉混入「賞味期限迫った肉処理に困り」山梨
2021年3月25日 17時22分
山梨県笛吹市の食肉流通センターが、甲州牛として学校給食用に提供した牛肉の一部に、甲州牛以外の牛肉が混入していた問題で、センターが24日、会見を開き「製造販売担当の複数の社員が、賞味期限が迫った肉の処理に困り、混入させてしまった」などと内部調査の結果を説明しました。
これは、笛吹市の「山梨食肉流通センター」が会見を開いて説明しました。別の牛肉が混入していたのは、新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んだ畜産農家を支援するため、県と国が費用を全額負担して、ブランド牛「甲州牛」を購入し、学校給食として提供する事業で、牛肉の混入を受けて、センターでは、社員への聞き取りなどの内部調査を進めていました。
会見の冒頭で、センターの駒井文彦社長は「このたびは大変申し訳ございませんでした」と謝罪しました。
そのうえで、「今回の事案には、製造販売担当の複数の社員が関与していた」としたうえで、「新型コロナの感染拡大の影響で販売が低迷し、賞味期限が迫った肉の処理に困り、混入させてしまったことが分かった」などと説明しました。
そして、この事業では、合わせて延べ18か所に、706.5キロの原材料の牛肉が甲州牛として出荷されていましたが、その9%余りにあたる、合わせて64.7キロが、ほかの産地の牛肉だったことを明らかにしました。
また、別の民間による食育事業でも、3つの保育園に対して、甲州牛として出荷された原材料の43キロ余りの牛肉のうち、17%余りに当たる7.4キロが、ほかの産地の牛肉だったことも分かったということです。
センターでは、今後、県などの調査の結果を待ったうえで社内の懲罰委員会を開き、処分などを決定するとしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210325/k10012935371000.html
【YBS山梨放送】 【特集】甲州牛の給食提供事業 他県産牛肉の混入 背景を徹底検証 2021/05/27
- 【YouTube】https://youtu.be/UeGn26xLkQ4
- 5分31秒の動画です。ぜひご覧ください。※埋め込み動画には出来ない設定でした
投稿者プロフィール
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◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)