事件の概要

  • 老人ホームでの食中毒
  • 食事を喫食した97名中25名に、下痢、腹痛を主症状とするウエルシュ菌よる健康被害
  • 食品衛生法第6条違反による3日間の営業停止処分
  • 病因物質はウエルシュ菌
  • 喫食メニューは、チーズはんぺん、鶏のからあげ、焼き鯖、煮物、和え物等
  • 原因食品は公表されていない(調査中?)

コメント(課題・問題点・防止策等)

  • 飲食店営業の許可を受けた食堂なので、給食施設と考えてもいいのかな。
  • 通常の有料老人ホームなので体が弱っているとかではなく学生寮のようなイメージだと思う。
  • 原因食品は調査中と思われますが、ウエルシュ菌による食中毒の多くはつくりおきの食品によるものなので、煮物・和え物あたりが、当日直前調理でない可能性がありまう(煮物は作り置きすると味がしみ込んで美味しいのですけどね)
  • 特に、給食施設のような大量調理をする場合に、つくりおきは絶対にNGですね
  • 検食はしているのかな?給食だとすれば必要だが、通常の老人ホームの食堂なら、給食とまで言えないかもしれない
  • 原因が判明するなどの続報があれば追記します

埼玉県 報道発表資料「食中毒を発生させた施設の行政処分について」2021年9月8日

埼玉県HP
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発表日:2021年9月8日17時

1 行政処分の内容
坂戸保健所は、食中毒を発生させた(1)の営業者に対して、(2)の営業施設での営業停止の行政処分を本日おこなった。

(1) 営業者
株式会社O・S・I

代表取締役 石川 学(イシカワ マナブ)

(2) 営業施設
グランステージ若葉

埼玉県鶴ヶ島市富士見4-2-16

(3) 営業の種類
飲食店営業

(4) 違反内容
食品衛生法第6条違反
令和3年9月3日(金曜日)に上記営業施設において調理提供された食事を喫食した97名中25名に対して、下痢、腹痛を主症状とするウエルシュ菌よる健康被害を生じさせた。

(5) 処分内容
食品衛生法に基づく営業停止命令

ア 処分年月日
令和3年9月8日(水曜日)

イ 営業停止
令和3年9月8日(水曜日)から令和3年9月10日(金曜日)まで3日間

なお、営業者は令和3年9月7日(火曜日)から営業を自粛している。

(6) 病因物質
ウエルシュ菌

2 指導内容
坂戸保健所では営業者に対して、食中毒の再発防止を目的に、営業停止期間中、施設の消毒を指導するとともに調理従事者への衛生教育等を行う。

3 食中毒事件の概要
(1) 探知
令和3年9月4日(土曜日)、県内医療機関から「老人ホームの入居者13名が、9月4日(土曜日)未明から下痢の症状を呈している」と連絡があり、坂戸保健所が調査を開始した。

(2) 調査結果( 発表日現在 )
ア 患者の発生状況等
(ア) 喫食者97名
(イ) 患者25名 ( 男性16名、女性9名 50歳代から80歳代 )
受診者15名、入院者なし。全員、快方に向かっている。
(ウ) 喫食日 令和3年9月3日(金曜日)
(エ) 初発日時 令和3年9月3日(金曜日)21時
(オ) 主な症状 下痢、腹痛
(カ) 喫食メニュー チーズはんぺん、鶏のからあげ、焼き鯖、煮物、和え物等

イ 上記飲食店を食中毒の原因施設と断定した理由
(ア) 患者7名の便からウエルシュ菌が検出されたこと。
(イ) 患者の主症状及び潜伏期間が、ウエルシュ菌によるものと一致したこと。
(ウ) 患者の共通食が、原因施設で提供された食事に限定されること。

報道発表資料
食中毒を発生させた施設の行政処分について(PDF:309KB)

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0708/news/page/news20210900801.html

報道発表資料の中の参考情報「ウエルシュ菌は土壌などに広く分布する菌で、人や動物の腸管にも存在します。」

参考情報
ウエルシュ菌は土壌などに広く分布する菌で、人や動物の腸管にも存在します。

この菌は熱に強い「芽胞(がほう)」と呼ばれる形態をとり、100℃の加熱でも死滅しません。カレーやシチュー等を大鍋で大量に作る場合、他の細菌は死滅してもウエルシュ菌の芽胞は生き残ります。調理後に適切に冷却せず放置すると、40℃~50℃で急速に増殖して食中毒の原因となります。

原因となる食品
「給食用のスープ」「前日に調理したカレー」など、大量に作ったり、作り置きした食品は特に注意が必要です。

症状
感染すると、6~18時間の潜伏期間の後、菌が作る毒素(エンテロトキシン)により下痢や腹痛を起こします。一般的に症状は軽く、多くは1~2日で回復します。

予防方法
ウエルシュ菌が増えやすい「40℃~50℃」にしない事が大切です。

加熱調理した物であっても、放置せずになるべく早く食べましょう。保存するときはパックに小分けして冷蔵するなど、早く冷やす工夫をしましょう。

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0708/news/page/news20210900801.html

最近、ウエルシュ菌による食中毒がちょこちょこニュース報道されています

ニュース記事の紹介

※下記に紹介している記事や動画は時間の経過とともに削除される場合がありますのでご了承ください。また、新しいニュースがあれば追加します。

【埼玉新聞】25人が食中毒…チーズはんぺん、唐揚げ、焼きサバ、煮物食べ 熱に強いウエルシュ菌検出、増殖する環境は 2021年9月9日

2021年9月9日(木)
25人が食中毒…チーズはんぺん、唐揚げ、焼きサバ、煮物食べ 熱に強いウエルシュ菌検出、増殖する環境は

 県は8日、老人ホーム「グランステージ若葉」(鶴ケ島市)で煮物などを食べた50~80代の男女25人が下痢や腹痛を訴え、調査の結果、ウエルシュ菌が原因だったと発表した。食事を提供したO・S・I(千葉県)に対し、10日まで3日間の営業停止の行政処分を行った。

 県によると、3日、同施設の97人がチーズはんぺんや鶏の唐揚げ、焼きサバ、煮物、あえ物などを食べた。4日、県内医療機関が「下痢の症状を呈している」と朝霞保健所に情報提供し、坂戸保健所の聞き取りの結果、25人に症状が見られたという。

 ウエルシュ菌は熱に強い「芽胞(がほう)」と呼ばれる形態を取り、適切に冷やさず放置すると増殖する性質がある。

https://www.saitama-np.co.jp/news/2021/09/09/07_.html

投稿者プロフィール

赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)