事件の概要

  • 神奈川県鎌倉市の市立腰越保育園の水道水から基準値290倍の細菌検出された
  • 水道水は屋上のタンクから給水している
  • 8/23タンクを清掃し検査用の水を採取したが、さびがまじったような水が出たため使用を中止し、9/2におさまったとして9/3から使用再開
  • 検査用の水から基準の290倍の一般細菌が検出されたことが9/13に判明し、使用を中止し、9/14からはペットボトルで対応
  • 再検査で基準はクリアしたが、原因調査中のため、飲料用の水としては使用せず、再開時期も未定とのこと
  • なお、園児と職員計5人が下痢を発症したが、細菌との因果関係は不明

コメント(課題・問題点・防止策等)

  • 屋上のタンクということから、簡易専用水道(受水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超える・それ以下なら小規模受水槽)であると思われます
  • 簡易専用水道は法定点検として年に1回検査することになっており、通常、清掃・設備点検・水質検査が行われます
  • この水質検査で一般細菌数が基準を超過したものと推測されます
  • 水道管から直結給水される場合は、行政の責任となりますが、受水槽がある場合は受水槽に給水されるまでが行政の責任となり、受水槽に注ぎ込まれた後は所有者の責任となります(正確に言えば水道メーターや止水器具などの設備の所有権が変わるところから)
  • この受水槽の衛生管理がよくないと、動物の死骸や虫が入ったりして、知らないうちに水質が悪化してしまい、場合によっては身体被害を受けることもあります
  • 調理関係者は使用している水が直結給水なのか受水槽を使っているのかを把握し、受水槽を使用しているのなら、点検検査記録の情報を共有するとともに、残留塩素濃度を定期的に測定して問題がないか確認記録することも大事です。
  • 給食施設での水道水の衛生に関する事例はそのほかにもあります。

【参考】東京都福祉保健局「簡易専用水道の情報」

簡易専用水道とは
・水道法第三条第七項
「簡易専用水道」とは、水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。ただし、その用に供する施設の規模が政令で定める基準以下のものを除く。

・水道法施行令第二条
法第三条第七項ただし書に規定する政令で定める基準は、水道事業の用に供する水道から水の供給を受けるために設けられる水槽の有効容量の合計が10立方メートルであることとする。

検査機関による受検義務について
簡易専用水道の設置者は、水道法第34条の2及び水道法施行規則第56条に基づき、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関による検査を1年に1回以上受検する義務があります。

検査内容の詳細については、「簡易専用水道の管理に係る検査の方法その他必要な事項」(平成15年7月23日、厚生労働省告示第262号)(法令検索第3篇 健康 第1章 健康、厚生労働省)を参照してください。

厚生労働大臣の登録を受けた検査機関については、簡易専用水道検査機関登録簿(厚生労働省健康局水道課作成)をご覧ください。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/suido/jouhou.html

ニュース記事の紹介

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【読売新聞】神奈川の保育園水道水、基準290倍の細菌…園児ら5人が下痢などで欠席 2021/09/16

神奈川の保育園水道水、基準290倍の細菌…園児ら5人が下痢などで欠席
2021/09/16 07:57

 神奈川県鎌倉市は15日、市立腰越保育園の水道水から基準の290倍の一般細菌が検出されたと発表した。6~10日には園児4人、職員1人の計5人が下痢で欠席するなどしたが、いずれも軽症で、因果関係は不明という。市は発生源を調べている。

 市保育課によると、市が委託した業者が8月23日に園屋上のタンクの清掃と検査用の水を採取。さびがまじったような水が出たため、園では水道の利用を中止したが、今月2日に水の変色が収まったとして、3日から利用を再開していた。
 水質検査は採水翌日の8月24日から始まり、市は今月13日、基準を大幅に超える一般細菌の検出を把握したという。園は14日から、給食などに使う水はペットボトルの市販品で対応している。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210915-OYT1T50333/

【神奈川新聞】鎌倉・腰越保育園の水道水から基準値290倍の細菌検出 2021年9月15日

鎌倉・腰越保育園の水道水から基準値290倍の細菌検出

社会 | 神奈川新聞 | 2021年9月15日(水) 20:20

 鎌倉市は15日、市立腰越保育園(同市腰越)で給食などに使う水道水から基準値の290倍の細菌が検出されたと発表した。

 市によると、検査で13日に基準超えの細菌が確認され、使用を中止した。現在はペットボトル水で代用している。

 園では6~10日に園児と職員計5人が下痢を発症したが、細菌との因果関係は不明という。市は「給食で出す料理は基本的に火を通し、食器洗浄後も消毒保管庫に入れており、細菌はほぼ死滅すると思われる」としている。

https://www.kanaloco.jp/news/social/article-679803.html

【神奈川新聞】290倍細菌検出の鎌倉市立保育園、水質基準をクリア 2021年9月24日

290倍細菌検出の鎌倉市立保育園、水質基準をクリア

政治・行政 | 神奈川新聞 | 2021年9月24日(金) 21:54


 鎌倉市の市立腰越保育園(同市腰越)で水道水から基準値の290倍の一般細菌が検出された問題で、市は24日、検査機関の検査で水質基準をクリアしたと発表した。

 細菌検出の原因を特定中のため、飲食用の水の使用はせず、再開時期も未定という。

https://www.kanaloco.jp/news/government/article-689444.html

投稿者プロフィール

赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)