リコールの概要とコメント

  • アイスミルクの成分規格違反での回収命令です
  • 自主回収ではなく、規格基準違反による回収命令となっています
  • 違反項目は大腸菌群陰性(乳等省令によるアイスミルク規格基準)のところ、「大腸菌群陽性」となり、食品衛生法第13条第2項違反となりました
    (アイスミルクの規格基準は、一般生菌数50,000CFU/g・大腸菌群陰性 ※CFUはコロニーのことですが、ほぼ「個」とみたらいいです)
  • 対象商品は、美山ふるさと株式会社(南丹市美山町)が製造した「美山愛す ミルク味(アイスミルク)130ml(カップ入り)」です
  • 京都府のホームページ、リコール情報サイトで公表されており、マスコミ等からも報道もされました。事業者のホームページのトップにお詫び文が掲載されています。

【管理人コメント】

  • 大腸菌群が陽性になったからといって、食中毒等の身体被害がもれなく出るわけはありませんが、大腸菌群や一般生菌数は食品の衛生状態を示す指標となります。
  • 違反が出たので原因調査はこれからとなりますが、このような事例で原因が公表されることは大きな身体被害を伴う食中毒事件でない限り、ほぼありません。
  • 勝手な想像ですが、アイスクリーム等は本来は清潔な器具で製造されるわけですので、機械器具類の清掃等が不十分であった可能性があります。もしくは、前に製造したものが十分に洗いきれておらず残ったなど。
  • また、アイスクリームで成分規格に反する事例の原因として、ヨーグルトを入れたアイスクリームを製造した後に、同じ機械で通常のアイスクリームを製造して一般生菌数が違反になった事例もあります(乳酸菌なので洗浄不足だと、あたりまえですが、ものすごい数の菌数が出る ※乳酸菌なので安全という面では問題はないだろうが)
  • 近年、自家製のアイスクリームを観光施設で直売するところが増えたが、衛生管理を怠ると、製品回収という経済的なダメージを受けるので注意が必要です。仕入れて販売するほうが無難ではあります。また、その場で取り分けて販売する場合等の対面販売形式では、仕入れていない自家製のものは、このような検査をする機会も少ないので、定期的な検査もやっておくといいと思います。
  • ちなみに、なぜ違反が発覚したのかというと、公表はされていませんが、京都府が『アイスミルクの成分規格検査を中丹西保健所で行ったところ』と公表されていることから、保健所による定期的な抜き取り検査(食品衛生法第28条では収去という)ではないかと推測されます。各保健所で年間収去計画というのがあり、いくつかの施設の製品を抜き取り検査します(施設数が少なければ毎年、多ければ数年に1回など)。※もし自主検査での発覚による保健所への報告であれば良い取り組みなのですが、なかなかそこまでは難しいかも)

(参考)アイスクリーム類には3つの種類(一般的に乳脂肪分が高いほど高価格になる)のほかに氷菓(ガリガリ君ソーダ味などのかき氷アイスのような感じ)があります。ぜひ、店頭や商品で表示を確認してください

  1. 種類別 アイスクリーム(乳固形分15.0%以上 うち乳脂肪分8.0%以上)
  2. 種類別 アイスミルク(乳固形分10.0%以上 うち乳脂肪分3.0%以上)
  3. 種類別 ラクトアイス(乳固形分3.0%以上)
  4. 種類別 氷菓(上記以外のもの)

(参考)一般社団法人日本乳業協会>乳の知識と情報>詳細資料 乳と乳製品のQ&A

食品衛生法

第十三条 厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。
② 前項の規定により基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、若しくは保存し、その基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販売し、若しくは輸入し、又はその規格に合わない食品若しくは添加物を製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、保存し、若しくは販売してはならない。
③(以下省略)

第五十九条 厚生労働大臣又は都道府県知事は、営業者が第六条、第十条から第十二条まで、第十三条第二項若しくは第三項、第十六条若しくは第十八条第二項若しくは第三項の規定に違反した場合又は第九条第一項若しくは第十七条第一項の規定による禁止に違反した場合においては、営業者若しくは当該職員にその食品、添加物、器具若しくは容器包装を廃棄させ、又はその他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる。
②(以下省略)

【事業者のホームページでのお詫び】美山ふるさと株式会社

お詫び
この度、弊社の直営店美山のめぐみ牛乳工房で製造いたしましたジェラート「愛すミルク(ミルク味)」より大腸菌群が検出されました。これにより、8月19日(木)付で南丹保健所より商品回収命令を受け、8月20日に全ての該当商品を回収いたしましたのでお知らせいたします。 ご購入された方、これまでご利用頂いている皆様および関係者の皆様には多大なる苦痛とご迷惑をお掛けしたことを、心より深くお詫び 申し上げます。早々に、原因究明に努め製造工程での衛生管理を見直し信頼回復に努めてまいります。誠に勝手ながら今後ともご愛顧いただきますよう重ねてお願いいたします。

https://www.miyamafurusato.com/

【京都府公表資料】アイスミルクの規格基準違反について[令和3年8月20日]

トップページ > 暮らし・環境・人権 > 食生活・消費生活 > 食の安心・安全きょうと > アイスミルクの規格基準違反について


アイスミルクの規格基準違反について
アイスミルクの成分規格検査を中丹西保健所で行ったところ、府内産のアイスミルクの検査結果が成分規格に不適合であったため、8月20日(金曜)南丹保健所長が製造者に対し、当該食品の回収を命じましたので、お知らせします。
なお、現在のところ、本件に係る健康被害等の情報は寄せられていません。

違反食品
商品名:美山愛す ミルク味(アイスミルク)
内容量:130ml(カップ入り)

回収対象:令和3年7月26日に製造したもの909個

底面ロット表示(2107 ミルク2)

製造施設
屋号:美山ふるさと株式会社
営業者:美山ふるさと株式会社 代表取締役 奥本浩二(おくもとこうじ)
所在地:南丹市美山町安掛下23

違反内容
食品衛生法第13条第2項違反(大腸菌群陽性)

乳等省令によるアイスミルク規格基準:大腸菌群陰性

南丹保健所の対応
(1)製造者に対して食品衛生法第59条の規定に基づく違反食品の回収命令
(2)製造所に立入検査し、原因、製造量、製造工程、流通範囲等を調査

参考
大腸菌群とは

大腸菌群には、家畜や人の腸内に存在する大腸菌を含みます。
ほとんどのものは下痢の原因になることはありませんが、このうちいくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原大腸菌と呼ばれています。
大腸菌群は汚染の指標であり、この結果をもって、直ちに健康被害が発生すると考えられるものではありませんが、当該食品を食べた場合、腹痛、下痢を起こす可能性があります。

お問い合わせ

健康福祉部生活衛生課

http://www.pref.kyoto.jp/shoku-anshin/seikatsu/kikakukijyunnihann.html

【消費者庁】食品リコール情報サイトでの公表 2021/08/23

カテゴリー画像件名 掲載日 対応開始日
食料品-美山ふるさと「美山愛す ミルク味(アイスミルク)」 - 回収命令2021/08/232021/08/20

商品名 美山愛す ミルク味(アイスミルク)
連絡先
美山ふるさと株式会社

南丹市美山町安掛下23

対応方法
南丹保健所の対応

(1)製造者に対して食品衛生法第59条の規定に基づく違反食品の回収命令

(2)製造所に立入検査し、原因、製造量、製造工程、流通範囲等を調査

対応開始日 2021年08月20日
対象の特定情報
商品名 :美山愛す ミルク味(アイスミルク)

内容量 :130ml(カップ入り)

回収対象:令和3年7月26日に製造したもの909個

底面ロット表示(2107 ミルク2)

製造施設:美山ふるさと株式会社

所在地 :南丹市美山町安掛下23

参照情報 京都府参照情報

備考
アイスミルクの成分規格検査を中丹西保健所で行ったところ、府内産のアイスミルクの検査結果が成分規格に不適合であったため、8月20日(金曜)南丹保健所長が製造者に対し、当該食品の回収を命じましたので、お知らせします。

なお、現在のところ、本件に係る健康被害等の情報は寄せられていません。

違反内容:

 食品衛生法第13条第2項違反(大腸菌群陽性)

 乳等省令によるアイスミルク規格基準:大腸菌群陰性

管理番号:00000028233

https://www.recall.caa.go.jp/result/detail.php?rcl=00000028233&screenkbn=01

【京都新聞】カップアイス909個を回収、検査で大腸菌群陽性 京都 2021/8/20


カップアイス909個を回収、検査で大腸菌群陽性 京都
2021/8/20 18:10

京都府南丹市
 京都府南丹保健所は20日、成分規格検査で大腸菌群が陽性になったとして、南丹市美山町の業者が製造したアイスミルク909個について、回収命令を出した。健康被害の情報はない。

 同町の美山ふるさとが7月26日に製造したカップ入りの「美山愛す ミルク味」(130ミリリットル)。陰性であるべき大腸菌群が陽性だったという。主に同町の道の駅にある「ふらっと美山」で販売していたが、既に回収した。

 同保健所は近く立ち入り検査し、原因などを調べる。同社は「製造管理を再度徹底、強化したい」とした。

投稿者プロフィール

赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)