事件の概要
- 東京都武蔵村山市内の保育園で提供された給食でヒスタミン食中毒が発生
- 有症者は17人で、喫食約30分後から「顔面紅潮、発疹」等の症状
- 発症したのは0歳児から2歳児クラスの園児
- 原因食品は「さんまの梅味噌焼き」
- 3歳児から5歳児クラスの園児には「さんまの梅味噌焼き」の提供を中止し、発症者はいなかった
- 4日間の営業等停止(給食の供給停止)処分
コメント(課題・問題点・防止策等)
- ヒスタミンは悩ましい食中毒です
- もともと、サンマなどの赤身の魚に含まれているもので、常温放置などの温度管理ができていないと増えるようです
- 加熱しても、一度生成されたヒスタミンはなくなりません
- 原材料由来+保管中の温度管理という要素がありますが、どちらに原因があるか分かりにくいともいえます
- 予防策としては、新鮮で温度管理ができている魚を納品してもらうこと、納品後は冷蔵保管など温度管理を適切にする、ぐらいですね
- また、ヒスタミンを有する魚を使わないという方法もありますが、難しいかもしれませんね
- なお、加熱調理ることで酵素やヒスタミン産生菌の働きは停止します
ヒスタミン食中毒防止
【厚生労働省】
ヒスタミンによる食中毒を防止するために、下記の衛生管理を徹底して下さい。
・魚を生のまま保存する場合は、すみやかに冷蔵、冷凍すること
・解凍や加工においては、魚の低温管理を徹底すること
・鮮度が低下した魚は使用しないこと 調理時に加熱しても分解されません
・信頼できる業者から原材料を仕入れるなど、適切な温度管理がされている原料を使用すること
【食品安全委員会】
ヒスタミンによる食中毒の予防法
(1)魚を保存する場合は、速やかに冷蔵・冷凍し、常温での放置時間を最小限とする衛生管理を徹底すること。
(2)ひとたび蓄積されたヒスタミンは加熱をしても分解しないため、鮮度が低下した恐れのある魚は食べないこと。
(3)ヒスタミンが高濃度に蓄積されている食品を口に入れたときに唇や舌先に通常と異なる刺激を感じる場合があり、その場合は食べずに処分すること。
東京都公表資料 食中毒の発生について~武蔵村山市内の保育園で提供された給食で発生した食中毒~令和3年10月5日
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食中毒の発生について~武蔵村山市内の保育園で提供された給食で発生した食中毒~
令和3年10月5日
福祉保健局【探知】
10月1日(金曜日)午前11時30分、武蔵村山市内保育園の栄養士から多摩立川保健所に「9月29日(水曜日)の給食喫食後、複数名の園児が顔面紅潮等の症状を呈した。」旨の連絡があった。【調査結果】
多摩立川保健所は、探知後直ちに食中毒の調査を開始した。患者は、同園の園児17名で、9月29日(水曜日)午前10時55分から給食を喫食したところ、同日午前11時20分から午前11時35分にかけて、顔面紅潮、発疹等の症状を呈していた。
発症したのは0歳児から2歳児クラスの園児で、共通食は同園で提供された給食 のみであり、全員が9月29日(水曜日)昼食に提供されたさんまの梅味噌焼きを喫食していた。
3歳児から5歳児クラスの園児にはさんまの梅味噌焼きの提供を中止し、発症者はいなかった。
同園で提供された給食についてヒスタミンの検査を実施したところ、検食(さんまの梅味噌焼き) から8.8mg/100g、残品(さんまの梅味噌焼き)から120mg/100gを検出した。
【決定】
多摩立川保健所は、本日、以下の理由により、本件を当該施設が9月29日(水曜日)に調理、提供したさんまの梅味噌焼きを原因とするヒスタミンによる食中毒と断定した。患者の共通食は同園で提供された給食のみで、全員がさんまの梅味噌焼きを喫食していた。
同園で提供された給食についてヒスタミンの検査を実施したところ、検食(さんまの梅味噌焼き) から8.8mg/100g、残品(さんまの梅味噌焼き)から120mg/100gを検出した。
患者の症状及び潜伏期間が同物質によるものと一致していた。
患者を診察した医師から食中毒の届出があった。
【措置】
当該給食施設は、10月2日(土曜日)から給食の提供を自粛しており、都は本日から4日間の営業等停止(給食の供給停止)の処分を行った。発症関係
(10月5日午前10時現在)
発症日時 9月29日(水曜日)午前11時20分から同日午前11時35分まで
症状 顔面紅潮、発疹
発症場所 保育園
患者数 総数 17名
(内訳)男:8名(年齢1~3歳)、女:9名(年齢1~3歳)
入院患者数 0名
診療医療機関数・受診者数 1か所1名(女1名)
原因食品 当該施設が9月29日(水曜日)に調理、提供したさんまの梅味噌焼き
病因物質 ヒスタミン
原因施設 施設名 社会福祉法人 ****保育園
業種 集団給食施設(届出)
届出者 社会福祉法人 ***
施設所在地 東京都武蔵村山市***
法人番号 ***
連絡先電話番号 ***[備考]
主なメニュー 9月29日(水曜日)の昼食
しょうが御飯、さんまの梅味噌焼き、なめこのおろし和え、椎茸と白菜の吸い物、フルーツ検査関係
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/hodo/saishin/pressshokuhin211005.html
(10月5日午前10時現在)
検査実施機関:東京都健康安全研究センター
検 食:2検体中1検体(さんまの梅味噌焼き)からヒスタミンを8.8mg/100g検出
1検体(未加熱さんま)ヒスタミンを検出しない
残 品:1検体(さんまの梅味噌焼き)からヒスタミンを120mg/100g検出
参考食品:1検体(調味料の味噌)ヒスタミンを検出しない
拭き取り検体:細菌5検体陰性
【参考】厚生労働省ホームページ 「ヒスタミンによる食中毒について」
ホーム> 政策について> 分野別の政策一覧> 健康・医療> 食品> 食中毒> ヒスタミンによる食中毒について
ヒスタミンによる食中毒について
ヒスタミンによる食中毒とは?
ヒスタミン食中毒は、ヒスタミンが高濃度に蓄積された食品、特に魚類及びその加工品を食べることにより発症する、アレルギー様の食中毒です。
ヒスタミンは、食品中に含まれるヒスチジン(タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の一種)にヒスタミン産生菌(例、Morganella morganii)の酵素が作用し、ヒスタミンに変換されることにより生成します。
そのため、ヒスチジンが多く含まれる食品を常温に放置する等の不適切な管理をすることで、食品中のヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミンが生成されます。
ヒスタミンは熱に安定であり、また調理加工工程で除去できないため、一度生成されると食中毒を防ぐことはできません。
食中毒の原因となる食品は?
ヒスチジンを多く含むマグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジなどの赤身魚及びその加工品が主な原因食品として報告されています。ヒスタミンによる食中毒の予防方法と対策
一度生成されたヒスタミンは、調理時の加熱等では分解されません。
そのため、ヒスタミン産生菌の増殖と酵素作用を抑えてヒスタミンを生成させないようにするため、原材料(魚の場合には死んだ瞬間から)から最終製品の喫食までの一貫した温度管理が重要です。消費者のみなさまへ
・ 魚を購入した際は、常温に放置せず、速やかに冷蔵庫で保管するようにしましょう。
・ ヒスタミン産生菌はエラや消化管に多く存在するので、魚のエラや内臓は購入後できるだけ早く除去しましょう。
・ また、鮮度が低下した恐れのある魚は食べないようにしましょう。調理時に加熱しても分解されません。
・ ヒスタミンを高濃度に含む食品を口に入れたときに、くちびるや舌先に通常と異なる刺激を感じることがあります。
この場合は、食べずに処分して下さい。事業者のみなさまへ
国内では、保育園や学校が関係する大規模な食中毒や、ヒスタミンが高濃度で検出されたとして魚の缶詰等の大規模な回収事例が発生しています。→ 保育園や学校が関係するヒスタミン食中毒についてはこちら
ヒスタミンによる食中毒を防止するために、下記の衛生管理を徹底して下さい。
・ 魚を生のまま保存する場合は、すみやかに冷蔵、冷凍すること
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130677.html
・ 解凍や加工においては、魚の低温管理を徹底すること
・ 鮮度が低下した魚は使用しないこと 調理時に加熱しても分解されません
・ 信頼できる業者から原材料を仕入れるなど、適切な温度管理がされている原料を使用すること
【参考】食品安全委員会 ファクトシート(ヒスタミン)
- 内閣府食品安全委員会ファクトシート(ヒスタミン)
https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/140326_histamine.pdf
1.ヒスタミンとは
ヒスタミン(histamine)は分子式C5H9N3、分子量111.14 の活性アミンで、アミノ酸の一種であるヒスチジンの誘導体です。マグロ類、カツオ類、サバ類等の赤身魚には、遊離ヒスチジンが多く含まれています。これらの魚を常温に放置する等、不適切な管理が行われた結果、細菌(ヒスタミン生成菌a)が増殖し、この細菌によって遊離ヒスチジンからヒスタミンが生成されます。
ヒスタミンを多く含む魚やその加工品を食べることにより、アレルギー様のヒスタミン食中毒を発症することがあります。ヒスタミンは熱に安定であることから、一度生成されると焼き物や揚げ物などの加熱調理済みの食品であっても食中毒が発生します。
ヒスタミンは、魚やその加工品のほか、ワインやチーズなどの発酵食品にも含まれていることがあります。○ヒスタミンによる食中毒の予防法
https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/140326_histamine.pdf
(1)魚を保存する場合は、速やかに冷蔵・冷凍し、常温での放置時間を最小限とする衛生管理を徹底すること。
(2)ひとたび蓄積されたヒスタミンは加熱をしても分解しないため、鮮度が低下した恐れのある魚は食べないこと。
(3)ヒスタミンが高濃度に蓄積されている食品を口に入れたときに唇や舌先に通常と異なる刺激を感じる場合があり、その場合は食べずに処分すること。
【参考】農林水産省 健康に悪影響を与える可能性のある魚介類中に含まれる物質等について
ホーム > 消費・安全 > 食品安全:魚介類 > 健康に悪影響を与える可能性のある魚介類中に含まれる物質等について > 化学物質
2.化学物質(5)ヒスタミン
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/gyokai/busitu/kagakubusitu/index.html
ヒスタミンは、魚肉等に含まれるアミノ酸の一種であるヒスチジンが、ヒスタミン生成菌の酵素の働きにより分解されることで生成される化学物質です。ヒスタミンが大量に含まれる食品を食べることで、ヒスタミンによる食中毒が発生します。ヒスタミンは、熱に強く、加熱しても分解しません。農林水産省では、ヒスタミン低減に関する国内外の情報収集を継続し、低減に向けた取組を進めています
「水産物を扱う漁業者、市場関係者、加工・流通業者の皆様へ」 (リーフレット) (PDF:214KB)
ヒスタミンの概要及びリスク管理措置平成27年6月(PDF:124KB)
ニュース記事の紹介
※下記に紹介している記事や動画は時間の経過とともに削除される場合がありますのでご了承ください。また、新しいニュースがあれば追加します。
【日テレNES24】保育園でヒスタミン食中毒 園児17人発症 2021年10月5日
東京都は、武蔵村山市の保育園でヒスタミンによる食中毒が発生し、園児17人が発症したと発表しました。全員、軽症だということです。
東京都によりますと、ヒスタミンによる食中毒が発生したのは武蔵村山市の保育園で、先月29日午前11時半ごろ、1歳から3歳の園児17人に発疹や顔面が赤くなるなどの症状が現れたということです。いずれも軽症です。
ヒスタミン食中毒とは、ヒスタミンが高濃度に蓄積された食品、特に魚類やその加工品を食べることによって発症するアレルギーのような食中毒です。
17人は園内で作られた給食を食べていて、保健所は、給食に含まれていたさんまの梅みそ焼きが原因としています。
都は、園に5日から4日間の給食の供給停止の処分を行いました。都内でヒスタミンによる食中毒が確認されるのは去年11月以来となります。
https://www.news24.jp/articles/2021/10/05/07951113.html
投稿者プロフィール
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◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
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