• 2021年7月に富山市の小中学校で発生した1800人を超える学校給食の牛乳での食中毒事件
  • 原因物質が「下痢原生大腸菌」と推測
  • 落雷の影響で殺菌機の温度感知機能が故障し、牛乳の高温殺菌ができていなかったことも要因と考えられるとのこと
  • 【続報】食中毒の原因となった牛乳の製造業者「内田乳業」は6月19日以降、営業禁止処分がされていたが、8月2日付けで営業禁止措置が解除された ※不備のあった設備の交換、修理や、洗浄設備を新たに導入するなどの再発防止策が講じられ、試作品の検査でも問題がなかったため

【管理人のコメント】

  • HACCPによる衛生管理がされていれば、殺菌温度はCCP(重要管理点)になるはずで、正常に動作しているかの製造前の点検で確認できるはずだし、連続的に殺菌温度をモニタリングと記録ができていれば、アラート対象だし、後から、記録を見て、食中毒の原因を追究できるはずである。
  • 2021年6月1日から経過期間を経てHACCPが完全義務化されていることを考えると、当該施設は、規模的に「HACCPに基づく衛生管理」ではなく、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」、すなわち小規模事業場(食品を取り扱う従事者が50人未満)だった可能性がある。
  • ただし、 小規模事業場だからといって、牛乳というリスクの高い食品を扱うならば、HACCP以前に、きちんとした衛生管理が必要である
  • 落雷によるセンサーの故障は、まさにHACCPでは製造不可能という判断になる
  • 学校給食関係者にとっては、納入食材である牛乳をそのまま提供しただけなので、食中毒を防ぐことは難しい。冷蔵保存の温度管理や試食による味や風味、異物混入などの確認となる。ポイントとしては、衛生管理がきちんとできた施設から納品することが重要となる。今回であれば、HACCPによる衛生管理がされていることを取引条件にすることになるが、学校給食は地域の小規模な事業者を応援することも必要なので、事業者・保健所・学校との連携によって、安全安心を確保していきたいところ。

下痢原生大腸菌とは

下痢原生大腸菌は5種類(腸管病原性大腸菌・腸管侵入性大腸菌・毒素原性大腸菌・腸管出血性大腸菌・腸管凝集性大腸菌)に分類されており、この中には食中毒として有名な腸管出血性大腸菌も含まれています。今回の食中毒の原因菌がどれなのかは今後検査が続けられると思いますが、初めての食中毒ということから 腸管出血性大腸菌以外の下痢原生大腸菌だったということでしょう。

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大腸菌は、動物や健康な人の腸管・土壌・下水など自然界に広く存在し、通常病原性はありません。しかし、いくつかの大腸菌は人に対して下痢を引き起こすものがあり、これらを総称して下痢原性大腸菌と呼んでいます(病原大腸菌と言うこともあります)。

現在、この菌は次の5つのタイプに分類されています。

下痢原性大腸菌の種類と症状
1.腸管病原性大腸菌(EPEC)
潜伏時間は12~72時間で、下痢、腹痛を主症状とし、サルモネラ食中毒とよく似た急性胃腸炎を起こします。

2.腸管侵入性大腸菌(EIEC)
潜伏期間は1~5日(3日以内がほとんど)で、腸の細胞に侵入・増殖し、赤痢様症状(血便、腹痛、発熱)を起こします。

3.毒素原性大腸菌(ETEC)
潜伏時間は12~72時間で、毒素(エンテロトキシン)によりコレラのような激しい水様性の下痢が主症状で発熱はありません。発展途上国への旅行者の下痢の主要原因菌で、水系感染が多く発生しています。

4.腸管出血性大腸菌(EHEC)
潜伏時間は3~5日でベロ毒素により、腹痛や血便などの出血性大腸炎を起こします。ベロ毒素産生大腸菌(VTEC)とも呼ばれています。

5.腸管集合性大腸菌(EAggEC)
潜伏期間は1~5日(3日以内がほとんど)で、腸の細胞に付着し、エンテロトキシンを産生することにより、散発的に下痢症を起こします。発展途上国での持続的下痢の原因となっています

主な原因食品
腸管出血性大腸菌O157による食中毒以外は、原因食品が明らかにされた例は少ないのが現状です。

しかし、これまで発生した事例から、人の糞便で汚染された飲料水や食品が原因と推定されています。

https://www.city.shinjuku.lg.jp/kenkou/file03_04_01_00007.html

そのほかにも「国立感染症研究所」のホームページでも解説されています⇒下痢原性大腸菌感染症とは

【 北日本放送 】 原因物質は「下痢原生大腸菌」と推定 2021年7月28日

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原因物質は「下痢原生大腸菌」と推定

富山 2021.07.28 19:05

 富山市の小中学校や保育施設で先月、児童生徒などおよそ2000人が食中毒の症状を訴えた問題について、市は「原因物質は牛乳の高温殺菌の不備による下痢原生大腸菌と考えられる」と報告しました。

 この菌が集団食中毒の原因となったのは、全国でも初めてとしています。

 これは28日、冒頭を除いて非公開で行われた専門家会議で、出席した有識者14人に対し富山市保健所が報告しました。

 会議後に保健所が行った説明によりますと、国立医薬品食品衛生研究所が検査した結果、食中毒の原因物質は、「下痢原生大腸菌」と推定されるとしました。

 原因の1つとして、落雷の影響で牛乳を製造した内田乳業の殺菌機の温度感知機能が故障し、牛乳の高温殺菌ができていなかったことを挙げました。

 今回検出された「下痢原生大腸菌」が集団食中毒の原因となったのは、全国で初めてとしています。

 一方で保健所は、故障した機械の交換などの対策を行い、改めて検査したところ、牛乳に問題は見られず、安全性が担保されたとしました。

 28日の会議で専門家から異論はなく、保健所は牛乳製造業者の内田乳業に対する営業禁止の処分を来月上旬に解除することを目指しています。

https://www.knb.ne.jp/nnn/news101duv3noyyr9pxmff9.html

【 富山テレビ 】 給食の牛乳で小中学生ら1896人食中毒…原因物質「下痢原生大腸菌」と推定 温度センサー等正常作動せず 2021年7月28日

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給食の牛乳で小中学生ら1896人食中毒…原因物質「下痢原生大腸菌」と推定 温度センサー等正常作動せず
富山テレビ
地域
2021年7月28日 水曜 午後7:04

富山市保健所による専門家会議が28日開かれ、先月、富山市の小中学校などで起きた牛乳による集団食中毒の原因は「下痢原性大腸菌」と推定されると報告されました。

会議では、国立医薬品食品衛生研究所の調査結果が報告され、患者の検便や牛乳から同じ型の大腸菌が検出されたことから、原因は「下痢原性大腸菌」と推定されるとしました。

これは、製造過程で温度センサーなど複数の機器が正常に作動していなかったことが主な要因で、これまでに機器の修理や設備の洗浄消毒などが行われ、市保健所では「安全が担保された」として業者に対する営業禁止処分を来月上旬に解除する方針です。

なお、この集団食中毒では、最終的な患者数は1896人にのぼっています。

https://www.fnn.jp/articles/-/216818

【時事通信社】原因は下痢原性大腸菌 発症者1896人に―富山・集団食中毒 2021年07月28日

原因は下痢原性大腸菌 発症者1896人に―富山・集団食中毒

2021年07月28日21時37分

 6月に富山市の小中学校や保育施設で起きた集団食中毒で、市保健所は28日、原因物質は牛乳に含まれていた下痢原性大腸菌とみられると発表した。この日、保健所で開かれた専門家会議で発症者は1896人に上ったと報告された。
 保健所によると、患者の便と牛乳の両方から同じ型の大腸菌が検出された。国立医薬品食品衛生研究所などが型の特定を急ぐ。牛乳を製造した「内田乳業」(富山市)の殺菌機の温度センサーが故障し、牛乳が十分に殺菌されていなかったことも要因となった。
 食中毒では給食やおやつで出された牛乳を飲んだ児童や生徒らが体調不良を訴え、市は同社に対し、食品衛生法に基づく営業禁止処分を出した。同社では故障した機器の交換などを行い、保健所が製品の安全を確認。8月初旬に営業再開を認める見通し。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021072801334

【朝日新聞DIGITAL】牛乳の大腸菌が原因 機械故障で混入 富山の集団食中毒 2021年07月29日

牛乳の大腸菌が原因 機械故障で混入 富山の集団食中毒
竹田和博2021年7月29日 12時10分

 6月に富山市内の小中学校などで起きた集団食中毒の原因について、市保健所は、給食で出された牛乳に含まれていた下痢原性大腸菌と推定されるとの調査結果をまとめた。製造業者の設備の故障が理由とみられるという。

牛乳業者を営業停止処分へ 富山の食中毒 症状1千人超

 牛乳は富山市の「内田乳業」が製造し、小中学校や保育所など25施設で6月15~16日に給食やおやつとして提供された。市保健所によると、患者数は計1896人だったという。

 国立医薬品食品衛生研究所(川崎市)が牛乳と患者の便を調べ、同じ遺伝子型の大腸菌が検出された。これまでに確認されていなかった型といい、同研究所が調査を続けている。

 市保健所は、業者の殺菌機が故障し、殺菌に必要な温度を保てなかったことなどで大腸菌が混入したと断定した。落雷で故障した可能性があるという。

 市保健所の指導を受け、業者は機器の交換などを実施した。7月下旬に製造したサンプルが規格を満たしたことから、市保健所は営業禁止処分を8月上旬に解除する方針という。

 調査結果は、市保健所が28日に開いた専門家会議で報告した。(竹田和博)

https://www.asahi.com/articles/ASP7Y3TVVP7YPISC003.html

【 富山テレビ 】 給食牛乳での集団食中毒発生を受け県が研修会…食品衛生管理手法を学ぶ 2021年7月27日

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給食牛乳での集団食中毒発生を受け県が研修会…食品衛生管理手法を学ぶ
富山テレビ
地域
2021年7月27日 火曜 午後7:00

先月、富山市の小中学校などで、給食の牛乳による集団食中毒が発生したのを受け、県は27日、牛乳や乳製品の製造業者を対象に食品衛生についての研修会を開きました。

これは、今年、義務化された食品衛生管理手法のHACCPについて学ぶため開かれたもので、県内15の業者の関係者などおよそ50人が参加しました。

研修会では、HACCPは衛生管理の国際的な手法で、食品の流通が国際化していることが背景にある他、製造工程ごとにチェックし最終製品の安全性を証明するのが特徴であるとして、最終製品のみをチェックしていた従来の方法との違いを専門家が説明していました。

この研修会は、今年中にあと4回行われ、HACCPに沿った衛生管理計画の作り方のほか、食品衛生に関する国際的な認証制度などについて学ぶことになっています。

https://www.fnn.jp/articles/-/216197

【富山テレビ】富山市の給食牛乳集団食中毒…製造業者の営業禁止措置を解除(2021/8/2)

富山市の給食牛乳集団食中毒…製造業者の営業禁止措置を解除
富山テレビ
地域
2021年8月2日 月曜 午後5:30

今年6月、富山市内の小中学校などで発生した給食の牛乳による集団食中毒で、市は牛乳の製造業者への営業禁止措置を2日付けで解除しました。

この集団食中毒は、今年6月に給食で出された牛乳が原因で小中学校の児童、生徒や保育所の子ども達など1896人が腹痛や下痢などの症状を訴えたものです。

市は牛乳の製造業者、内田乳業を6月19日以降、営業禁止としていましたが、2日付けで営業禁止措置を解除しました。

これまでの調査で、工場内の牛乳を加熱殺菌する機械など複数の製造機器が壊れていたことや、設備の洗浄、消毒方法が不適切だったことが判明していて、原因物質は下痢原性大腸菌と推定されています。

富山市保健所によりますと、内田乳業では不備のあった設備の交換、修理や、洗浄設備を新たに導入するなどの再発防止策が講じられ、試作品の検査でも問題がなかったということです。

投稿者プロフィール

赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)