• JA高知県の製造する食品で、①賞味期限切れの原材料を使用した商品の製造・販売、②清涼飲料水に塩素酸の水質基準を超える原水を使用、③賞味期限の不適正表示、という3つの不適切な製造・表示が発覚した。
  • 発覚したきっかけは、2020年2月に発覚した米の産地偽装問題での内部調査の結果判明した(職員からの指摘)
  • JAという消費者や生産者からの信頼が命であるのに、その信頼を次々に裏切った行為は非常に問題で、再発防止に全力を注いでほしい

【管理人コメント】食品の衛生管理の第一歩は安全な原材料であるので、使用する原材料や購入する原材料の安全性の確認確保(地下水の場合の水質、野菜等の農薬など)、購入する原材料の購入日・数量・使用記録などの日常管理(履歴管理・トレーサビリティ)が重要である。また、HACCPの導入にも原材料の管理は重要である。

今回報告にあった「食品の不適切な製造・表示」の3事案の具体的な内容

①賞味期限切れの原材料を使用した商品の製造・販売

  • 2021年2月26日までに「れいほく柚子加工場」で製造した4商品
商品名原材料原材料の賞味期限
ゆずーる280ml酒石酸2015.12.8
しょうが柚280ml増粘剤2014.4.22
郷のゆず すし酢360ml酵母エキス2018.8.8
椎茸調味液2017.6.12
おいしし 90g・500gれんこん2019.9.27、2020.11.11
乾燥しいたけ2018.7.31

画像はJA高知県の「食品の不適切な製造・表示のご報告とお詫び(文書) 」より抜粋引用

【管理人コメント】添加物の使用料は少ないのでなかなか使い切ることができないというのはあると思うが、製造量等を考えて在庫管理する必要性がある。おそらく、他の製造所でも同じような事例があるのではないかと思う。期限を過ぎたからといって、直ちに安全性が問題となることはないと思うが、品質が低下する可能性もある。さすがに、添加物ではない原材料の期限が大幅に過ぎていることは非常に問題だと思う。

②清涼飲料水に塩素酸の水質基準を超える原水を使用

  • 令和2年8月27日(8月26日採水)に実施した当該工場の原料使用水の水質検査(年1 回実施)で食品衛生法による清涼飲料水の原料水の基準値を超える値が検出(基準値:0.6mg/L以下、検査結果:0.69mg/L)
  • 令和2年9月29 日に基準値を下回っているという再検査結果を受け取るまでの間、本来は製造・販売すべきではないにもかかわらず、清涼飲料水7商品(うちJ A商品4商品)を製造・販売し、なおかつ本来行うべき回収をしていなかった。

画像はJA高知県の「食品の不適切な製造・表示のご報告とお詫び(文書) 」より抜粋引用

【管理人コメント】わずかとはいえ水質基準違反の原水を飲料に使用するのは言語道断。もしかすると、もっと別の問題で水が汚染されている可能性もある。水は飲料のほとんどの量に相当するので、まともに健康に影響を受ける。そして、基準違反が発覚してからは、当然製造中止と製品回収を行うのが当たり前の対応。衛生管理意識の欠如としか言いようがない。基準違反したこと自体は、事後対応をしっかりしておけばいいのだが、製造を続けたことは危機管理では非常に問題である。

③賞味期限の不適正表示

  • 令和2年7月10日に製造した「ぜんまい水煮」について、賞味期限6か月の設定(自主基準)のところを、誤って12 か月と印字した商品を道の駅南国の直販所「風の市」に出荷し、24 袋を販売。
  • 令和2年8 月6 日の補充納品時に、陳列棚の前回納品商品を確認したところ誤りに気付き、本来は「風の市」に伝え回収告知を掲示すべきであったが、陳列商品の回収のみの対応としてた。

画像はJA高知県の「食品の不適切な製造・表示のご報告とお詫び(文書) 」より抜粋引用

【管理人コメント】賞味期限を少々過ぎた食品でも直ちに健康被害が起こるわけではないが、このような食品で6カ月を1年と間違えたら、中身が膨張するなど腐敗変敗や菌の増殖の可能性もある。まあ、購入した消費者はさすがに6か月以内には食べていると思うが、今となっては時間がたちすぎてリコールもできない。令和3年6月1日からは食品のリコールについて制度化されたので、今後はきちんと対応してほしい。

「食品の不適切な製造・表示」が発覚したきかっけ

  • 2020年2月に発覚した米の産地偽装問題での内部調査の結果判明した(職員からの指摘)

【管理人コメント】※この指摘が単なる調査で見つかったのか、内部告発的であったのかは書かれていない

2020年2月に発覚した米の産地偽装問題

今回報告にあった「食品の不適切な製造・表示」は3事案の保健所からの指導と対応

  1. 賞味期限切れの原材料を使用した商品の製造・販売
    ※保健所からの口頭指導
  2. 塩素酸の水質基準値を超過した原料水を使用した飲料製造・販売
    ※保健所からの食品衛生法違反による文書指導(令和3年7月6日付)・7月末に保健所へ改善計画書を提出
  3. 賞味期限の不適正表示
    ※示すべきであったが、陳列商品の回収のみの対応

JA高知県の公表資料

JA高知県HP
ホーム > JA高知県からのお知らせ > 重要なお知らせ > 食品の不適切な製造・表示のご報告とお詫び及び特別調査委員会による総点検の実施について

JA高知県からのお知らせ
食品の不適切な製造・表示のご報告とお詫び及び特別調査委員会による総点検の実施について
各位

このたび、当組合・れいほく柚子加工場(以下、当該工場)において、食品の不適切な製造・表示の事案3件を確認いたしましたので、事案の概要ならびに対応について別紙のとおり報告させていただきます。
当組合では、本年1月13日にご報告した「米の不適切な取扱いに関する調査結果並びに再発防止策等について」にもとづき執行体制を変更したうえで、再発防止と信頼回復に努めているところです。その過程において、消費者・取引先・生産者の皆さまに対し、当組合への信頼を損ねることとなりましたこと、役職員一同厳粛に受け止め、あらためて深くお詫び申しあげます。
なお、対象商品のサンプルを分析した結果から、お客様の健康への影響はないものと考えています。また現段階でお客様からの健康に対するご連絡はいただいておりません。対象商品の成分検査・流通等の実態調査ならびに保健所への報告等に時間を要したため、ご報告が遅れましたこともあわせてお詫び申し上げます。
本事案は、昨年実施した食品表示に限定した内部調査では対象外であったため、把握ができていませんでした。再発防止を徹底するためにも、改めての総点検ならびに是正措置が必要であるとの判断に至りました。今後、弁護士等による特別調査委員会を設置し、経済事業全般に関わる総点検の結果と同委員会からの提言に基づき、再発防止策を補強し実施してまいります。

令和3年8月2日
高知県農業協同組合
代表理事組合長 秦泉寺 雅一

※不適切事案の概要は以下の添付文書をご確認ください。
食品の不適切な製造・表示のご報告とお詫び(文書)

https://ja-kochi.or.jp/informations/important-news/16880/

ニュース記事の紹介

※下記に紹介している記事や動画は時間の経過とともに削除される場合がありますのでご了承ください。

【RKC高知放送】JA高知県が食品の不適切な製造・表示(2021/8/2)

  • リンク先の記事にニュース動画あり

JA高知県が食品の不適切な製造・表示

高知 2021.08.02 18:50

JA高知県は2日、大豊町のれいほく柚子加工場で賞味期限切れの原材料を使用するなど3件の食品の不適切な製造・表示があったことを明らかにした。今回の事案は去年発覚した仁井田米の偽装問題で内部調査を進めるなかで判明した。食品の不適切な製造・表示が明らかになったのは大豊町のれいほく柚子加工場。JA高知県によると賞味期限切れの原材料を使用していたのは2021年2月26日までに製造したゆずジュースなど4種類の商品。また去年8月27日に実施した原料水の水質検査で塩素酸の水質基準値を超える値が検出されたにもかかわらず2020年9月29日に基準値を下回っているという再検査結果を受取るまでの間、水質基準値を超えた原料水を使用してJAの4商品を含む清涼飲料水7商品を製造・販売していた。さらに2020年7月10日に製造した「ぜんまい水煮」について賞味期限が6ヶ月の設定を誤って12ヶ月と印字し道の駅南国の直販所に出荷し24袋を販売していた。今回の事案は2020年に発覚した仁井田米の偽装問題を受けて内部調査を進める中で明らかになった。JA高知県では対象商品のサンプルを分析した結果から健康への影響はないとしている。また対象商品を購入した人には全額返金するとしている。問い合わせ先はれいほく柚子加工場0887・73・0080またはフリーダイヤル0120・863・388で8月16日まで受け付けている。JA高知県は今回の事案をうけ弁護士などによる特別調査委員会を設置し経済事業全般の総点検を行い再発防止策を補強していくとしている。

https://www.rkc-kochi.co.jp/news/news1095whp1ql1aytwpfza.html

【テレビ高知】JA高知県加工場で不適切製造・表示(2021/8/2)

  • リンク先の記事にニュース動画あり

JA高知県加工場で不適切製造・表示
2021年8月2日(月)

米の不適切表示で組合長が交代したJA高知県で、再び、不適切な製造と表示があったことが分かりました。れいほく柚子加工場で賞味期限切れの原材料が使用されるなどしていたということです。

不適切な製造、表示があったのはJA高知県のれいほく柚子加工場です。JA高知県によりますと今年2月26日までに製造した一部の商品で賞味期限切れの原材料を使用していたということです。使用量が微量だったことから、製造管理者が期限切れ後も使用するよう指示していました。また、去年8月にはゆずジュースの製造過程で、原料の水が水質の基準値を超えているにも関わらず、商品を製造、販売。さらに去年7月には、本来6か月の賞味期限と設定している商品を、誤って12か月と印字して出荷、販売していたということです。

JA高知県では去年、米に関する不適切表示で組合長が交代。再発防止に取り組んでいるところでした。今後、弁護士らによる特別調査委員会を設置し、再発防止策を補強していく考えで、秦泉寺組合長は「信頼を損ねたことを厳粛に受け止め、深くお詫び申し上げる」とコメントしています。

【高知さんさんテレビ】JA高知県の8商品で不適切な製造や表示 健康への影響はなし(2021/8/2)

JA高知県の8商品で不適切な製造や表示 健康への影響はなし 【高知】
高知さんさんテレビ
地域
2021年8月2日 月曜 午後8:09

去年、ブランド米の銘柄や産地偽装が発覚したJA高知県。法令順守の専門部署を立ち上げるなど再発防止に取り組んできました。しかしきょう(2日)新たに8つの商品の不適切な製造と表示が行なわれていたことを発表しました。

JA高知県によりますと大豊町のれいほく柚子加工場で、今年2月26日までに製造された一部の商品に賞味期限切れの原材料を使用していました。

原材料の増粘剤や酵母エキスなどは2014年4月から去年11月までの間に期限が切れたものでした。問題は工場で働く職員からの指摘で発覚しました。

原材料の賞味期限が切れていたことに気づいた職員は当時の工場の製造管理者に指摘をしましたが製造管理者は「使用料は微量で安全性に問題はないのでそのまま使うように」と指示していました。

さらに同じ工場で、水質検査で塩素酸が基準値を超えていた原料水を使用して飲料を製造し販売していたことや、「ぜんまい水煮」の賞味期限が6カ月のところ誤って12カ月と表示し24袋を販売していたことが分かりました。

JA高知県は対象商品のサンプルを分析し健康への影響はないとしていますが、8つの対象商品を購入した客に対しては返金で対応するとしています。

【読売新聞オンライン】賞味期限7年過ぎた添加物使い清涼飲料水10万本製造…管理者「微量で問題ない」使用指示(2021/8/3)

賞味期限7年過ぎた添加物使い清涼飲料水10万本製造…管理者「微量で問題ない」使用指示
2021/08/03 08:09

 JA高知県(高知市)は2日、賞味期限が最長で約7年過ぎていた食品添加物を使って2種類の清涼飲料水計約10万本を製造・販売していたと発表した。工場の製造管理者が期限切れを認識した上で、「微量で問題ない」として使用を指示していたという。

 発表では、清涼飲料水はれいほく柚子(ゆず)加工場(高知県大豊町)で製造し、2014年10月~21年6月が賞味期限だった「ゆずーる」と「しょうが柚」。原材料の食品添加物「酒石酸」と「増粘剤」について、いずれも賞味期限切れを認識しながら、使用を続けていた。

 ほかに、すし酢や肉みそも、最長で賞味期限が約4年過ぎた原材料を使っていた。健康被害の訴えはないといい、JA高知県は「深くおわびする。関係した職員は厳正に処分する」としている。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210803-OYT1T50183/

投稿者プロフィール

赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)