事件の概要

  • JA高知県が四万十町の直販所で販売した「四万十町産ゆずぽん酢生姜」に使用した原材料の「ゆず」が四万十産町以外の高知県産ゆずが含まれていることが判明
  • 製品ラベル文中の「四万十町産のゆず」との説明書きに対し、「高知県産ゆず」と書くのが正しいラベルであったとして自主回収
  • 「景品表示法第5条1号 優良誤認」および「食品表示法 食品表示基準第7条・・・特色ある原材料の使用(100 %でない場合は、含有量の表示が必要)」に違反
  • そのほかにも、2点の商品において同様の誤表記が判明
  • 「津野山茶」製品に対する原産地表示の誤表示(「高知県津野町産」と記した加工食品に「中土佐町産」が混在)
  • 「生姜 佃煮」(製品名)の 製品ラベルの原産地誤表記(「高知県土佐市産しょうが使用。」との記述に対し、土佐市以外の「高知県産」が混在)

コメント(課題・問題点・防止策等)

  • 原材料の産地を限定した商品は地域特産品として差別化されて人気商品です
  • 原材料が調達できなかったときに、違う産地の原材料を使用することもありますが、産地を限定しすぎると、表示が誤りになることがあります。
  • 都道府県産レベルであれば融通が付くことが多いのですが、町のレベルにまで限定すると原材料を調達できないリスクがあります。
  • そのため、景品表示法では表示の管理体制の構築が義務付けられ、原材料の産地の情報の記録を残し管理することになっています。
  • JA高知県では過去にも同様の違反を出して行政処分を受けており、そのときに表示の管理体制が指示されているはずです。その一環で判明したのかもしれませんが、ほぼ1年前に事なので、できていない、機能していないというのは問題です。表示の管理責任者がきちんとやるべきことをしなければなりません。
  • 消費者は表示を信じるしかなく、誤りであったことは虚偽表示だと言われても仕方がありません。
  • また、飲食店においても、これらの商品を使って、産地の特徴を訴求していたのなら、景品表示法(有利誤認)違反にもなるので、飲食店にしても迷惑な話です。
  • JA高知県に限らず、全国のJAでは産地の特徴を出した商品を販売しており、違反を出さないためにも景品表示法で義務付けられている表示の管理体制を構築してほしいです(いつでも研修をします)
  • (参考)食品表示ラベルの一括表示での誤表記は食品表示法違反と景品表示法違反、一括表示以外の説明表示(デザインなど)での誤表記は景品表示法違反

JA高知県 公表資料 「四万十産ゆずぽん酢生姜(製品名)」の製品ラベルの原産地誤表記等に関するお詫び 2022.02.16

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JA高知県からのお知らせ

「四万十産ゆずぽん酢生姜(製品名)」の製品ラベルの原産地誤表記等に関するお詫び

平素は当組合事業に格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

このたび、当組合が令和元年6月1日~令和4年1月22日に販売しました製品「四万十産ゆずぽん酢生姜」(販売者:高知県農業協同組合・高西地区・みどり市)のラベル文中において、下記の誤表記が判明しました。
また、当事案を受けた類似案件調査により確認した2事案についても併せてご報告いたします。
消費者・取引先・生産者の皆様にご迷惑とご心配をおかけしますこと、深くお詫び申しあげます。

今後、当事案の再発防止に向け管理徹底に努めてまいることはもとより、特別調査委員会等より提言を受けております問題の背景となる諸課題に真摯に向き合い、現在進めております再発防止策骨子の精緻化も含め、組織改善の実践に努めていく所存です。

詳細につきましては、以下の概要をご覧ください。

「四万十産ゆずぽん酢生姜」の製品ラベルの原産地誤表記等に関するお詫び

2022.02.16

https://ja-kochi.or.jp/informations/info/20568/

表示ラベル(JA高知県の公表資料より引用)

https://ja-kochi.or.jp/root/wp-content/uploads/2022/02/5583a8770180789bca45ad1a38e7cfc6.pdf

「四万十産ゆずぽん酢生姜」の製品ラベルの原産地誤表記等に関するお詫び 2022.02.16

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ニュース記事の紹介

※下記に紹介している記事や動画は時間の経過とともに削除される場合がありますのでご了承ください。また、新しいニュースがあれば追加します。

【RKC高知放送】JA高知県 ポン酢のユズ産地を誤表示 2022.02.17

JA高知県 ポン酢のユズ産地を誤表示

高知 2022.02.17 11:53

JA高知県は、四万十町の直販所で販売されたポン酢の原材料となるユズについて、ラベル表示とは別産地のユズ果汁が混ざっていたと発表した。

JA高知県によると、誤った表示があったのは、四万十町の直販所みどり市で2019年6月から今年1月22日まで販売された「四万十産ゆずぽん酢生姜」だ。

四万十町産と表示した商品のユズに、中土佐町産のユズ果汁が混ざっていたということで、1月18日、大豊町の加工場が四万十町の出荷元に産地確認し判明した。

原因は、搾汁管理の体制が十分でなかったことなどで、商品は発覚後に回収。

景品表示法違反にあたる可能性があるということで、県などと対応を協議している。

また、津野町産と表示した津野山茶に中土佐町産が混在。土佐市産しょうが使用と表示した商品に土佐市以外が混在という誤った表示も判明し、商品を回収したという。

JA高知県は、コメの偽装表示など不祥事が相次いだ問題で、1月、第三者委員会による調査結果を報告したばかりだった。

秦泉寺雅一組合長は「多大なご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げる。継続的な点検調査の実施、組織の改善に努める」とコメントしている。

https://www.rkc-kochi.co.jp/news/news109gof1kilxzze060qk.html

【高知さんさんテレビ】JA高知県 今度は原材料の産地を誤表示「四万十産ゆずぽん酢生姜」など県産3商品で【高知】 (22/02/17 17:00)2022/02/17

  • 【YouTube】https://youtu.be/KNy7mmGejbM(リンク切れ)

JA高知県 今度は原材料の産地を誤表示「四万十産ゆずぽん酢生姜」など県産3商品で【高知】
高知さんさんテレビ
地域
2022年2月17日 木曜 午後5:00

JA高知県はゆずぽん酢など県産の3つの商品で産地を誤って表示していたと発表しました。

誤った表示があったのは、四万十町の直販所みどり市などで2019年6月から販売されていた「四万十産ゆずぽん酢生姜」です。(先月22日まで7600本以上販売)
ラベルには「四万十町産のユズ」と表示されていましたが、実際には四万十町産のユズに県内の他の産地のユズが混ざっていました。不祥事が相次いでいたJA高知県が商品の原産地のチェックをしていたところ先月18日に発覚。これまでの確認が不十分だったとしています。
JA高知県は景品表示法違反などに抵触する可能性があるとして県などと対応を協議中で、商品はすでに回収しています。他にもJA高知県は津野町産としていた津野山茶に「中土佐町産」が混在していたことや土佐市産としていたショウガに県内の他の産地のものが混ざっていたこともあわせて発表しました。
JA高知県の秦泉寺雅一組合長は「多大なご迷惑をおかけし深くお詫び申し上げる。継続的な点検調査を実施し組織の改善に努めていく」とコメントしています。

https://www.fnn.jp/articles/-/317207(リンク切れ)

関係する法律

食品表示法(食品表示基準第7条)・・・特色ある原材料の使用(100 %でない場合は、含有量の表示が必要)

食品表示基準 ※第7条から該当す部分を抜粋
(任意表示)
第七条 食品関連事業者が一般用加工食品を販売する際に、次の表の上欄に掲げる表示事項(特色のある原材料等に関する事項にあっては、酒類を販売する場合、食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合及び不特定又は多数の者に対して譲渡(販売を除く。)する場合を除く。)が当該一般用加工食品の容器包装に表示される場合には、同表の下欄に定める表示の方法に従い表示されなければならない。

特色のある原材料等に関する事項1 特定の原産地のもの、有機農産物(有機農産物の日本農林規格(平成十七年農林水産省告示第千六百五号)第三条に規定するものをいう。)、有機畜産物(有機畜産物の日本農林規格(平成十七年農林水産省告示第千六百八号)第三条に規定するものをいう。)、有機加工食品(有機加工食品の日本農林規格(平成十七年農林水産省告示第千六百六号)第三条に規定するものをいう。)その他の使用した原材料が特色のあるものである旨を表示する場合又は製品の名称が特色のある原材料を使用した旨を示すものである場合にあっては、第三条第二項の規定により原料原産地名を表示する場合(任意で原料原産地名を表示する場合を含む。)を除き、次の各号に掲げるいずれかの割合を当該表示に近接した箇所又は原材料名の次に括弧を付して表示する。ただし、その割合が百パーセントである場合にあっては、割合の表示を省略することができる。
一 特色のある原材料の製品の原材料及び添加物に占める重量の割合
二 特色のある原材料の特色のある原材料及び特色のある原材料と同一の種類の原材料を合わせたものに占める重量の割合(この場合において、特色のある原材料の特色のある原材料及び特色のある原材料と同一の種類の原材料を合わせたものに占める重量の割合である旨の表示を表示する。)
2 特定の原材料の使用量が少ない旨を表示する場合にあっては、特定の原材料の製品に占める重量の割合を当該表示に近接した箇所又は原材料名の次に括弧を付して表示する。

食品表示基準Q&Aについて(平成27年3月30日消食表第140号)[PDF:65KB]

第2章 加工食品[PDF:2.3MB]
第7条関係
(特色のある原材料等に関する事項関係)

113ページ

(加工-203)食品表示基準第7条「特色のある原材料等に関する事項」について、本規定の目的と概要を教えてください。
(答)
1 本規定の目的は、原材料の特色について特別に強調された表示による消費者の誤認を防止することです。
2 具体的には、例えば、商品に「国産××使用」のように「特色のある原材料」の表示がされている場合、消費者は「国産××」の使用割合が100%であると認識すると考えられます。このような場合において、実際には「国産××」の使用割合が10%であったとすると、消費者を誤認させることになるため、「国産××10%使用」のように使用割合を併記することを規定しています。
3 表示する割合は、表示する特色のある原材料の
① 製品に占める割合
② 特色のある原材料と同一の種類の原材料に占める割合
のいずれかです。どちらの割合を表示するかについては、(加工-212)を参照してください。なお、使用割合が100%の場合は割合表示を省略することができます。
4 また、3②の割合を表示する場合には、同一の種類の原材料に占める割合である旨を表示する必要があります。具体的には(加工-212)を参照してください。
5 特定の原材料を強調表示するということは、基本的に当該原材料を使うことで製品の品質を高める等の効果がある場合において、そのことをPRする目的を持つものと考えられます。強調表示を行う場合、事業者はその表示を行う根拠について明確に説明できることが必要と考えます。

117-118ページ

加工-207)どのような原材料が「特色のある原材料」に該当するのですか。
(答)
1 「特色のある原材料」とは、特色のあることを示す用語を冠する等により、一般的名称で表示される原材料に対し差別化が図られたものであり、同種の原材料に占める割合が100%使用でない場合に「○○使用」、「○○入り」のように「使用した旨」を表示することが、消費者に優良誤認を与えると考えられるものを指します。「特色のある原材料」に該当するものを、以下のとおり整理しました。
① 特定の原産地のもの
・国産大豆絹豆腐
・トルコ産へーゼルナッツ使用
・十勝産小豆使用
・国内産山ごぼう使用
・三陸産わかめを使用 等
② 有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品
・有機小麦粉使用
・有機栽培こんにゃく芋から自社生産
・有機牛肉使用 等
③ 非遺伝子組換えのもの等
④ 特定の製造地のもの
・群馬県で精製されたこんにゃく粉入り
・北海道で製造されたバターを使用 等
⑤ 特別な栽培方法により生産された農産物
・特別栽培ねぎ入り
・栽培期間中農薬不使用のにんじん使用 等
⑥ 品種名等
・とちおとめ使用
・コシヒカリ入り
・本まぐろ入り 等
⑦ 銘柄名、ブランド名、商品名
・宇治茶使用
・松阪牛使用
・越前がに入り
・市販されている商品の商品名○○を「○○使用」 等
(③については、食品表示基準第3条第2項の表の遺伝子組換え食品に関する事項の規定に基づき表示することが必要。)
2 ただし、他法令、行政機関の定めるガイドライン等により、上記①~⑦に該当する原材料の表示方法が定められているものについては、当該法令等に定める方法により表示する場合に限り、特色のある原材料には該当しないものとします。
3 なお、当然のことながら、1において特色のある原材料に該当すると整理したもの以外についても、その原材料に関する表示が、実際のものより優良な製品であると誤認させる場合は不適切です。事業者は食品表示法に基づく本規定のみならず、景品表示法など他法令で定められた優良誤認防止の規定にも留意しつつ、消費者に誤認を与えない適切な表示を行ってください。

119ページ

(加工-208)「特色のある原材料」に該当するとされた(加工-207)の「⑥品種名等」及び「⑦ 銘柄名、ブランド名、商品名」の具体的な範囲を教えてください。

(答)
1 「品種名等」とは、
① 農産物にあっては、「キタアカリ」、「ハルユタカ」など種苗法に基づく登録品種名、「コシヒカリ」など農産物検査法に基づく農産物規格規程に定める産地品種銘柄としての品種名その他既存品種名及び品種を示す用語
② 畜産物にあっては、「黒毛和種」、「バークシャー種」などの品種名及び「黒毛和牛」、「和牛」など品種を示す用語
③ 水産物にあっては、「クロマグロ」、「タラバガニ」、「トラフグ」などの種名及び「ホンマグロ」、「ワタリガニ」など種を示す用語
を指します。
2 「銘柄名、ブランド名、商品名」とは、
① 「松阪牛」、「かごしま黒豚」、「越前がに」、「宇治茶」、「金華ハム」など、生産地や製法等について、独自の基準や地域に伝わる製法等に合致したものについて、一般的名称に地域名等の特色のある用語を冠するなどにより、一般的名称のものと差別化されているもの
② 市販されている商品の商品名(一般的名称のものを除く。)を指します。
3 1③の水産物の表示については、一括表示部分の原材料名として別添の魚介類の名称のガイドラインに基づき魚種名を表示する場合には割合表示の必要はありません。なお、当然のことながら、特定の魚種名を一括表示部分以外に強調して表示する場合には割合表示が必要です。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/

景品表示法

不当景品類及び不当表示防止法
(不当な表示の禁止)
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

投稿者プロフィール

赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)