事件の概要

  • 大阪市内の保育園の給食
  • 園児12人・職員5人が顔面の紅潮、頭痛、じんま疹、発熱等の症状
  • 「マグロのパン粉焼き(調理品の保存食)」からヒスタミンが検出
  • 保存食のヒスタミンの検査
    調理前保存食(食材のマグロ)ヒスタミン検出せず(20mg/kg未満)
    調理済保存食(マグロのパン粉焼き)ヒスタミン検出(4000mg/kg)
  • 2日間の給食場の業務停止

コメント(課題・問題点・防止策等)

  • きちんと原因食材・原因物質が判明するので、保存食を残していることは必須ポイントです。
  • 保存食の検査ですが、調理前の「食材のマグロ」からはヒスタミンが検出されず、調理後の「マグロのパン粉焼き」からヒスタミンが検出されているけど、なぜだろう?たまたま、保存食にした調理前の「食材のマグロ」は問題なかったということか?
  • どちらにしろ、どこかでヒスタミンが増えてしまうような温度管理が適正でなかったプロセスがあったということだろうけど
  • 公表されている情報だけでは、なかなか、ふに落ちないかな。
  • ちなみに、給食は業者委託ではなく、内部での直営なので、許可施設ではなくと届出施設ということで、営業停止ではなく業務停止という措置。

大阪市 報道発表資料 食中毒の発生について(東住吉区)2021年10月31日

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健康局報道発表資料

報道発表資料 食中毒の発生について(東住吉区)
2021年10月31日

令和3年10月31日 13時30分発表

 令和3年10月29日(金曜日)16時頃、大阪市東住吉区内の保育園「社会福祉法人みおつくし福祉会 湯里保育園」から、「令和3年10月29日(金曜日)の給食を喫食した後、複数の園児及び職員が顔面の紅潮等の症状を呈している。」との届出が大阪市東住吉区役所を通じて大阪市保健所にありました。

 調査したところ、当該保育園の園児126名及び職員29名の計155名が令和3年10月29日(金曜日)11時10分頃から当該保育園で調製した給食を喫食し、園児12名及び職員5名の計17名が同日12時15分頃から14時30分頃にかけて顔面の紅潮、頭痛、じんま疹、発熱等の症状を呈していることが確認されました。さらに、当日提供された給食の保存食について検査を実施したところ、献立の1つである「マグロのパン粉焼き(調理品の保存食)」からヒスタミンが検出されました。

 発症者17名の発症状況が類似し、共通食は当該保育園が調製した給食以外にないこと、保存食からヒスタミンが検出され、発症状況がヒスタミンによる食中毒症状と一致していることから、当該保育園の給食を原因とする食中毒と断定し、事業者に対し、本日から2日間、当該保育園の給食場の業務停止を命じました。

調査概要
発症者の状況
発症者17名(男:8名(1歳から6歳)、女:9名(4歳から47歳))

受診者0名

(注)発症者は全員快方に向かっています。

年齢別発症状況
年 齢 発症者数(名)男 女 
20歳未満 8 4
20~29歳 0 2
30~39歳 0 2
40~49歳 0 1
合 計   8 9

属性別発症状況
属性 発症者数(名)
園児 12
職員 5
合計 17

主症状
顔面の紅潮、頭痛、じんま疹、発熱

原因施設
名称:社会福祉法人みおつくし福祉会 湯里保育園

(しゃかいふくしほうじん みおつくしふくしかい ゆざとほいくえん)

所在地:大阪市東住吉区中野4丁目14番6号

事業者:社会福祉法人みおつくし福祉会(しゃかいふくしほうじん みおつくしふくしかい)
理事長 ********

病因物質 ヒスタミン

原因食品 令和3年10月29日(金曜日)に提供されたマグロのパン粉焼き

(当日の献立)パン、マグロのパン粉焼き、キャベツのカレー炒め、スープ

検査状況 検体名 検査結果

(ヒスタミン)
調理前保存食(食材のマグロ)ヒスタミン検出せず(20mg/kg未満)

調理済保存食(マグロのパン粉焼き)ヒスタミン検出(4000mg/kg)

参考
《ヒスタミン食中毒》
 ヒスタミン食中毒の原因となる主な食品は、「ヒスチジン」というアミノ酸を多く含む赤身魚(マグロ、ブリ、サンマ、サバ、イワシ等)やその加工品です。ヒスチジンは細菌(ヒスタミン産生菌)の酵素の働きでヒスタミンとなるため、ヒスチジンを多く含む食品を常温で放置するなど、不適切な管理を行うとヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミンが生成されます。

潜伏期間:食べた直後から数時間
主な症状:顔面、特に口の周りや耳たぶが紅潮し、頭痛、じんましん、発熱などで、重症になることは少ないです。
(ヒスタミン食中毒予防のポイント)

魚を購入した際は、常温に放置せず、速やかに冷蔵庫で保管しましょう。
魚のエラや内臓は購入後(または釣った後)、できるだけ早く除去しましょう。
冷凍した魚を解凍する時は、冷蔵庫内で解凍するなど、可能な限り低温で短時間のうちに解凍しましょう。
食品中にヒスタミンが生成されても、外観や臭いの変化はほとんどありませんが、多量のヒスタミンを一度に摂取すると、食べたときに舌がピリピリと感じることがあります。この場合は食べずに処分してください。

https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kenko/0000548172.html

ニュース記事の紹介

※下記に紹介している記事や動画は時間の経過とともに削除される場合がありますのでご了承ください。また、新しいニュースがあれば追加します。

【読売新聞】保育園児ら17人食中毒 「マグロパン粉焼き」給食からヒスタミン 2021年10月31日

保育園児ら17人食中毒 「マグロパン粉焼き」給食からヒスタミン
2021年10月31日 14時41分

 大阪市は31日、同市東住吉区の社会福祉法人みおつくし福祉会「湯里(ゆざと)保育園」で29日に給食を食べた園児と職員計17人がヒスタミンによる食中毒になったと発表した。全員軽症で、快方に向かっているという。

 市生活衛生課によると、給食を食べた園児や職員計155人のうち、1~6歳の園児12人と職員5人の計17人が発熱や頭痛、じんましんなどの症状を訴えた。給食で出された「マグロのパン粉焼き」から食中毒を起こすヒスタミンが検出され、市は同園に対し、31日から2日間の調理業務の停止命令を出した。

https://www.asahi.com/articles/ASPB04SK2PB0PTIL004.html

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投稿者プロフィール

赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
赤松靖生(消費者法務と食品の専門家)
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)